2017年01月30日

シニアアルバイトの働く動機別採用キーワード

★テーマ★ シニアアルバイトの働く動機別採用キーワード

 先日、株式会社インテリジェンスが運営するアルバイト求人情報サービス「an」が、アルバイトに従事する60歳以上の人を対象に、働き方に関する調査を実施し、その結果を公表しました。

 1企業がプレスリリース的に出した調査結果ですが、なかなかおもしろい着眼点でしたので、取り上げてみました。


★アンケート結果★

 60歳以上のアルバイト就業者に対し「アルバイトをする一番の目的は?」というアンケートを実施した結果、下記のような結果になりました。

  ・「お金を稼ぐため」       36%
  ・「健康を維持するため」     25%
  ・「社会との繋がりを感じるため」 24%
  ・「仕事のやりがいを感じるため」 12%


◇「アルバイトをする一番の目的」で分けたシニアの4タイプ

1.お金を稼ぐため(割合:36%)

 年金だけでは生活していけないという場合や、年金取得までのつなぎ、または老後に向けて蓄えるためにアルバイトをしている場合が多く、必要に迫られてアルバイトを始めたタイプです。

 主な目的が、お金を稼ぐことであるため、4タイプの中で最も多く働き、稼いでいるタイプです。週の希望シフト数が唯一の5日であり、平均月収を見ると9万3千円で最多となっています。

 仕事探しの重視点では「長い期間働くことができる」ことや、「給与の高さ」を重視する傾向があります。やりがいのある仕事というよりも、まずは仕事自体を見つけることが先決で、就業できるかどうかを判断するために、「自分と同世代の人が実際に働いているか」を気にする人が多いです。求人原稿においては60歳以上の方が実際に多く就業している点や、平均年齢などを記載すると応募に繋がりやすくなると考えられます。


2.健康を維持するため(割合:25%)

 定年退職した後に、家にいることが多くなって運動不足になったり、生活のメリハリがなくなり生活リズムが乱れてしまったりするパターンが多く、女性よりも男性に多い傾向があります。体を動かす仕事を希望する分、希望労働時間は短めです。

 仕事探しの重視点として「働く時間が短い」ことを希望する人が多く、平均勤務時間としては4~5時間が目安になります。職種としては、梱包・仕分けなどの軽作業や、清掃のアルバイトを希望する人が比較的多く、警備の見回りやゴルフ場のコース管理といった「歩くことが多い」仕事が人気のようです。


3.社会との繋がりを感じるため(割合:24%)

 定年退職をした後や、子育てがひと段落した後、家で過ごす時間が増えたせいで、人とのコミュニケーションが少なくなり、社会からの疎外感を感じたことがきっかけでアルバイトを始めた人が多いタイプです。アルバイトを通して他者との交流を望み、特に若い人との交流を求めている傾向にあります。

 仕事探しの重視点で「やりがいがある」の割合が多く、アルバイトを通じて社会に恩返しをしたい、人の役に立ちたいという声があがり、社会貢献志向が高いことも特徴だと言えます。求人原稿においては「若い人とのコミュニケーション」や「仲間づくり」ができること、またアルバイトを通じて人の役に立てる点などをアピールすることがポイントになります。


4.仕事のやりがいを感じるため(割合:12%)

 長年勤めていた過去の仕事の経験や得意分野を活かしたアルバイトを行っていたり、定年した後に資格を取得したりする場合が多く、「自身の能力を発揮し、社会に役立ちたい・必要とされたい」という思いが見られます。


★まとめ★

 よく、お金のために定年後も働かなくてはいけないシニア層が増えているというニュースを耳にしますが、仕事を続けるシニアのすべてがお金目的で働いているわけではありません。

 企業が人手不足解消のため、優秀なシニア層の採用を考えているのでしたら、どんな人を採用したいのか、そのイメージをまず固め、その人は上記1~4のどのタイプの人なのか見定めて、求人内容を作成するのもいいかもしれません。

 今回はシニアの話でしたが、他の年代の採用であっても、欲しい人材によって、求人でアピールする部分は変わってくるはずです。そこを含めて中小企業経営者の皆さんと一緒に良い結果を出せるよう考えたいと思います。
  


Posted by SRコナガヤ at 08:00Comments(0)仕事雑記帳トピックス

2017年01月20日

1月のトピックス

◆間もなく国会召集、まずは予算案の審議 2017/01/17

 第193通常国会が、今月20日に召集されます。「組織犯罪処罰法改正案」や「働き方改革関連法案」などで与野党の対立が予想され、荒れ模様の展開となりそうです。その他にも重要法案が目白押しですが、行政を円滑に進めるためには、まずは予算、ということで、政府・与党は、重要法案の審議の前に、平成29年度予算案などの年度内(3月まで)の成立を目指しているとのことです。

 厚生労働省では、どのような予算を予定しているのでしょうか? 

 平成29年度厚生労働省予算案(一般会計)の全体像をみると、平成29年度の予算案は総額で30兆6,873億円で、平成28年度の当初予算額と比較すると、3,763億円の増額が予定されています。

 そして、この予算案は「ニッポン一億総活躍プラン」が策定されてから初めての予算であり、「新三本の矢」、「働き方改革と生産性向上」に沿った施策に焦点を絞り、必要な予算措置を行うとしています。
 たとえば、生産性向上に向けた労働環境の整備の一環として、最低賃金全国加重平均1,000円達成に向けた中小企業の支援の拡充や、人事システムの改善を通じた賃金引上げの環境整備に対する助成の創設なども含まれています。
 具体的な措置は、これから取り決められ、予算案の成立又は新年度に合わせて実施されるという流れになると思われますが、効果的で、企業にとっても、従業員にとっても、希望が持てる措置を講じて欲しいですね。


◆本年1月からの雇用保険制度の改正について確認しておきましょう 2017/01/16 

 雇用保険制度が改正され、①65歳以上の者への適用拡大、②育児休業給付金・介護休業給付金の見直し、③特定受給資格者の基準の見直し、④再就職手当・広域求職活動費(新・求職活動支援費)の見直しなどが、本年1月から実施されています。

 このうち、①~③は、企業実務にも関係がある改正です。特に、①の65歳以上の者への適用拡大は重要です。

 この改正の前は、65歳前から引き続いて65歳以後も雇用している者に限り、雇用保険の被保険者(高年齢継続被保険者)として取り扱うことになっており、65歳以後に新たに雇用した者(別の会社で定年退職した者を、アルバイトとして雇った場合など)については雇用保険の適用除外でした。

 この改正後は、65歳以後に新たに雇用した者であっても、「週20時間以上かつ31日以上の雇用の見込あり」といった他の適用基準を満たしていれば、雇用保険の被保険者(高年齢被保険者)として取り扱うこととされました。なお、加えて、支給される雇用保険の給付の範囲も拡大されています。

 新たな要件に該当する従業員がいる場合は、雇用保険被保険者資格取得届の提出などが必要になりますので、確認しておきましょう(資格取得届の提出期限は、原則的には「翌月10日まで」ですが、提出期限の特例があり、「本年3月31日まで」に提出すればよいことになっています)。


◆残業代未払いなどで大手エステサロン経営会社に是正勧告 2017/01/12

今月11日、エステ業界の労働環境改善に取り組むエステ・ユニオンは、大手エステサロン(J)の2店舗が、残業代未払いなどで労働基準監督署の是正勧告を受けたことを明らかにしました。

社員や元社員数名は記者会見を開き、「人手が不足し、休憩時間を削って働いていた。労働時間の過少申告を本社のゼネラルマネジャーに求められた。勧告後も改善が進んでいない」と訴えました。会見を開いた社員のうち3人は精神疾患を発症したそうです。

2店舗のうちの1店舗では、36協定を結ばずに残業させていたとか・・・ 

基本的な労働基準法のルールを一切守っていないような労働環境ですね。

会社側は、「店舗の営業時間を短縮するなどして従業員の勤務態勢の見直しを進めている」などとコメントしたようですが、イメージダウンは免れません。

なお、残業代未払いの問題は厚労省も重く捉えており、毎年度、是正指導(是正勧告の一歩手前の指導といったところです。)をした結果を取りまとめて公表しています。「平成27年度の監督指導による賃金不払残業の是正結果」をみると、平成27年度中に是正指導を行った企業数は、1348企業で前年度より微増しています。

詳しくは、こちらをご覧ください。
厚労省HP「平成27年度 監督指導による賃金不払残業の是正結果」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/chingin-c_h27.html


◆大手電機メーカーに違法残業の疑い、上司と会社を書類送検 2017/01/12

今月11日、大手電機メーカーの研究職員である社員に違法な長時間労働をさせたとして、労働局は、労働基準法違反容疑で、法人としての同社と当時の上司1人を書類送検しました。

送検容疑は、同社と上司が平成26年1~2月に、36協定で定めた上限の月60時間を超える78時間程度の残業をさせたことで、実態の労働時間と合わない勤務時間を過少申告させた疑いも持たれています(社員の代理人弁護士によると、実質的には、過労死ラインとされる月80時間の2倍に当たる月160時間の残業があったとのことです)。

先の大手広告代理店においてもそうですが、36協定で定めた上限を超える残業と労災認定が重なると、書類送検されるといった感じですね。加えて、書類送検された事案の実態をみると、労働時間の過少申告・パワハラといった暗い影が見え隠れしています。

菅官房長官は11日の記者会見で見解を求められ、次のように述べ、法改正を含め改革に力を入れていく政府の方針を示しました。
「労基法違反容疑で書類送検の件は承知している。一億総活躍社会実現の最大のカギは働き方改革であり、両立支援・多様な働き方を可能にするために長時間労働慣行を断ち切ることが極めて重要である。働く人の立場に立ってしっかり改革を進めていきたい。政府内で有識者を交え、年度内にとりまとめてできるだけ早く国会に提出し、しっかりした働き方改革を実現していきたい。」(主旨)


◆産業医の巡視頻度・100時間超時間外該当者の情報提供改正(案) 2017/01/05

産業医業務にかかわる労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案がパブリックコメントに公開されました。

改正内容の主なものは次のようになっています。
1.産業医の作業場等の巡視頻度について
 衛生管理者から産業医に巡視結果等が提供される場合で、かつ事業者の同意がある場合は少なくとも2月に1回とする。

2.時間外が1月100時間超の労働者に関する産業医への情報提供について
 毎月1回以上行うこととされている労働時間の算定で、1週間当たり40時間を超える時間外労働が100時間を超えた労働者の氏名とその超えた時間に関する情報を事業者は産業医に提供するものとする。

3.各健康診断の結果に基づき医師または歯科医師への情報提供について
 医師または歯科医師が各健康診断の結果に基づき労働者から意見聴取する際に必要となる情報の提供を求められた事業者はこれを提供するものとする。

この改正にかかる意見募集は、平成29年1月26日までです。
  


Posted by SRコナガヤ at 08:00Comments(0)トピックス

2017年01月13日

「介護離職」に関するアンケート調査

★テーマ★ 介護離職者が実際に出た企業は1割

 介護離職の問題が少しずつ表面化し始め、政府もその防止に力を入れてきていますが、現実、どれくらいの会社が介護離職の問題を身近に感じているのでしょうか?

 東京商工リサーチが実施した「介護離職」に関するアンケート調査(有効回答7,391社)では、過去1年間に介護離職者が724社(構成比9.8%)で発生していたことがわかったそうです。

 下記でこの東京商工リサーチの「介護離職」に関するアンケート調査の概要をお伝えします。


★アンケート調査 結果概要★

1.過去1年間(2015年11月~2016年10月)に介護を理由とした離職者(以下、介護離職者)が発生しましたか?(択一回答)

 ・「ある」  724社( 9.8%)
 ・「ない」 5,612社(75.9%)
     → 介護離職者は全体の約1割の企業で発生している。

 1億円以上の大企業だけ見ると、
 ・「ある」  244社(11.3%)
 ・「ない」 1,150社(53.5%)

 1億円未満の中小企業では、
 ・「ある」  480社(9.1%)
 ・「ない」 4,462社(85.0%)


2.将来的に介護離職が増えると思いますか?(択一回答)

 ・「増えると思う」  5,272社(71.3%)
 ・「変わらないと思う」1,866社(25.2%)
 ・「減ると思う」     71社( 0.9%)


3.「仕事」と「介護」の両立に向けた取り組みや整備している制度は何ですか?(複数回答)

 ・就業規則や介護休業・休暇利用マニュアルなどで明文化 3,503社(47.3%)
 ・介護休業や介護休暇の周知、奨励           1,299社(17.5%)
 ・従業員の介護実態の把握               1,226社(16.5%)


4.「仕事」と「介護」の両立支援について、貴社の取り組みは十分だと思いますか?(択一回答)

 ・「そう思わない」 5,358社(72.4%)
 ・「そう思う」   1,336社(18.0%)
 ・「分からない」   697社(9.4%)


★まとめ★

 介護離職者を減らすための施策が必要だと思いながらも、実際には手をつけられていない企業が多いという実態が、上記の調査からは見えてきます。

 ※調査の詳細はこちらで見られます。
  http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20161227_01.html

 1月1日より介護休業法も改正になりましたが、改正内容の前に、「介護休業なんて制度があるの?」ということから知らない社員も多いかと思われます。まずは制度の周知からですね。

 実際に介護で離職しそうな社員を抱えている企業には、「介護離職防止支援助成金」の活用を検討されるのも一つの方法と思います。

 介護離職者防止については政府も力を入れていますが、弊事務所も今後力をいれていくべき分野と考えています。

  


Posted by SRコナガヤ at 08:00Comments(0)仕事雑記帳トピックス