2017年01月20日
1月のトピックス
◆間もなく国会召集、まずは予算案の審議 2017/01/17
第193通常国会が、今月20日に召集されます。「組織犯罪処罰法改正案」や「働き方改革関連法案」などで与野党の対立が予想され、荒れ模様の展開となりそうです。その他にも重要法案が目白押しですが、行政を円滑に進めるためには、まずは予算、ということで、政府・与党は、重要法案の審議の前に、平成29年度予算案などの年度内(3月まで)の成立を目指しているとのことです。
厚生労働省では、どのような予算を予定しているのでしょうか?
平成29年度厚生労働省予算案(一般会計)の全体像をみると、平成29年度の予算案は総額で30兆6,873億円で、平成28年度の当初予算額と比較すると、3,763億円の増額が予定されています。
そして、この予算案は「ニッポン一億総活躍プラン」が策定されてから初めての予算であり、「新三本の矢」、「働き方改革と生産性向上」に沿った施策に焦点を絞り、必要な予算措置を行うとしています。
たとえば、生産性向上に向けた労働環境の整備の一環として、最低賃金全国加重平均1,000円達成に向けた中小企業の支援の拡充や、人事システムの改善を通じた賃金引上げの環境整備に対する助成の創設なども含まれています。
具体的な措置は、これから取り決められ、予算案の成立又は新年度に合わせて実施されるという流れになると思われますが、効果的で、企業にとっても、従業員にとっても、希望が持てる措置を講じて欲しいですね。
◆本年1月からの雇用保険制度の改正について確認しておきましょう 2017/01/16
雇用保険制度が改正され、①65歳以上の者への適用拡大、②育児休業給付金・介護休業給付金の見直し、③特定受給資格者の基準の見直し、④再就職手当・広域求職活動費(新・求職活動支援費)の見直しなどが、本年1月から実施されています。
このうち、①~③は、企業実務にも関係がある改正です。特に、①の65歳以上の者への適用拡大は重要です。
この改正の前は、65歳前から引き続いて65歳以後も雇用している者に限り、雇用保険の被保険者(高年齢継続被保険者)として取り扱うことになっており、65歳以後に新たに雇用した者(別の会社で定年退職した者を、アルバイトとして雇った場合など)については雇用保険の適用除外でした。
この改正後は、65歳以後に新たに雇用した者であっても、「週20時間以上かつ31日以上の雇用の見込あり」といった他の適用基準を満たしていれば、雇用保険の被保険者(高年齢被保険者)として取り扱うこととされました。なお、加えて、支給される雇用保険の給付の範囲も拡大されています。
新たな要件に該当する従業員がいる場合は、雇用保険被保険者資格取得届の提出などが必要になりますので、確認しておきましょう(資格取得届の提出期限は、原則的には「翌月10日まで」ですが、提出期限の特例があり、「本年3月31日まで」に提出すればよいことになっています)。
◆残業代未払いなどで大手エステサロン経営会社に是正勧告 2017/01/12
今月11日、エステ業界の労働環境改善に取り組むエステ・ユニオンは、大手エステサロン(J)の2店舗が、残業代未払いなどで労働基準監督署の是正勧告を受けたことを明らかにしました。
社員や元社員数名は記者会見を開き、「人手が不足し、休憩時間を削って働いていた。労働時間の過少申告を本社のゼネラルマネジャーに求められた。勧告後も改善が進んでいない」と訴えました。会見を開いた社員のうち3人は精神疾患を発症したそうです。
2店舗のうちの1店舗では、36協定を結ばずに残業させていたとか・・・
基本的な労働基準法のルールを一切守っていないような労働環境ですね。
会社側は、「店舗の営業時間を短縮するなどして従業員の勤務態勢の見直しを進めている」などとコメントしたようですが、イメージダウンは免れません。
なお、残業代未払いの問題は厚労省も重く捉えており、毎年度、是正指導(是正勧告の一歩手前の指導といったところです。)をした結果を取りまとめて公表しています。「平成27年度の監督指導による賃金不払残業の是正結果」をみると、平成27年度中に是正指導を行った企業数は、1348企業で前年度より微増しています。
詳しくは、こちらをご覧ください。
厚労省HP「平成27年度 監督指導による賃金不払残業の是正結果」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/chingin-c_h27.html
◆大手電機メーカーに違法残業の疑い、上司と会社を書類送検 2017/01/12
今月11日、大手電機メーカーの研究職員である社員に違法な長時間労働をさせたとして、労働局は、労働基準法違反容疑で、法人としての同社と当時の上司1人を書類送検しました。
送検容疑は、同社と上司が平成26年1~2月に、36協定で定めた上限の月60時間を超える78時間程度の残業をさせたことで、実態の労働時間と合わない勤務時間を過少申告させた疑いも持たれています(社員の代理人弁護士によると、実質的には、過労死ラインとされる月80時間の2倍に当たる月160時間の残業があったとのことです)。
先の大手広告代理店においてもそうですが、36協定で定めた上限を超える残業と労災認定が重なると、書類送検されるといった感じですね。加えて、書類送検された事案の実態をみると、労働時間の過少申告・パワハラといった暗い影が見え隠れしています。
菅官房長官は11日の記者会見で見解を求められ、次のように述べ、法改正を含め改革に力を入れていく政府の方針を示しました。
「労基法違反容疑で書類送検の件は承知している。一億総活躍社会実現の最大のカギは働き方改革であり、両立支援・多様な働き方を可能にするために長時間労働慣行を断ち切ることが極めて重要である。働く人の立場に立ってしっかり改革を進めていきたい。政府内で有識者を交え、年度内にとりまとめてできるだけ早く国会に提出し、しっかりした働き方改革を実現していきたい。」(主旨)
◆産業医の巡視頻度・100時間超時間外該当者の情報提供改正(案) 2017/01/05
産業医業務にかかわる労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案がパブリックコメントに公開されました。
改正内容の主なものは次のようになっています。
1.産業医の作業場等の巡視頻度について
衛生管理者から産業医に巡視結果等が提供される場合で、かつ事業者の同意がある場合は少なくとも2月に1回とする。
2.時間外が1月100時間超の労働者に関する産業医への情報提供について
毎月1回以上行うこととされている労働時間の算定で、1週間当たり40時間を超える時間外労働が100時間を超えた労働者の氏名とその超えた時間に関する情報を事業者は産業医に提供するものとする。
3.各健康診断の結果に基づき医師または歯科医師への情報提供について
医師または歯科医師が各健康診断の結果に基づき労働者から意見聴取する際に必要となる情報の提供を求められた事業者はこれを提供するものとする。
この改正にかかる意見募集は、平成29年1月26日までです。
第193通常国会が、今月20日に召集されます。「組織犯罪処罰法改正案」や「働き方改革関連法案」などで与野党の対立が予想され、荒れ模様の展開となりそうです。その他にも重要法案が目白押しですが、行政を円滑に進めるためには、まずは予算、ということで、政府・与党は、重要法案の審議の前に、平成29年度予算案などの年度内(3月まで)の成立を目指しているとのことです。
厚生労働省では、どのような予算を予定しているのでしょうか?
平成29年度厚生労働省予算案(一般会計)の全体像をみると、平成29年度の予算案は総額で30兆6,873億円で、平成28年度の当初予算額と比較すると、3,763億円の増額が予定されています。
そして、この予算案は「ニッポン一億総活躍プラン」が策定されてから初めての予算であり、「新三本の矢」、「働き方改革と生産性向上」に沿った施策に焦点を絞り、必要な予算措置を行うとしています。
たとえば、生産性向上に向けた労働環境の整備の一環として、最低賃金全国加重平均1,000円達成に向けた中小企業の支援の拡充や、人事システムの改善を通じた賃金引上げの環境整備に対する助成の創設なども含まれています。
具体的な措置は、これから取り決められ、予算案の成立又は新年度に合わせて実施されるという流れになると思われますが、効果的で、企業にとっても、従業員にとっても、希望が持てる措置を講じて欲しいですね。
◆本年1月からの雇用保険制度の改正について確認しておきましょう 2017/01/16
雇用保険制度が改正され、①65歳以上の者への適用拡大、②育児休業給付金・介護休業給付金の見直し、③特定受給資格者の基準の見直し、④再就職手当・広域求職活動費(新・求職活動支援費)の見直しなどが、本年1月から実施されています。
このうち、①~③は、企業実務にも関係がある改正です。特に、①の65歳以上の者への適用拡大は重要です。
この改正の前は、65歳前から引き続いて65歳以後も雇用している者に限り、雇用保険の被保険者(高年齢継続被保険者)として取り扱うことになっており、65歳以後に新たに雇用した者(別の会社で定年退職した者を、アルバイトとして雇った場合など)については雇用保険の適用除外でした。
この改正後は、65歳以後に新たに雇用した者であっても、「週20時間以上かつ31日以上の雇用の見込あり」といった他の適用基準を満たしていれば、雇用保険の被保険者(高年齢被保険者)として取り扱うこととされました。なお、加えて、支給される雇用保険の給付の範囲も拡大されています。
新たな要件に該当する従業員がいる場合は、雇用保険被保険者資格取得届の提出などが必要になりますので、確認しておきましょう(資格取得届の提出期限は、原則的には「翌月10日まで」ですが、提出期限の特例があり、「本年3月31日まで」に提出すればよいことになっています)。
◆残業代未払いなどで大手エステサロン経営会社に是正勧告 2017/01/12
今月11日、エステ業界の労働環境改善に取り組むエステ・ユニオンは、大手エステサロン(J)の2店舗が、残業代未払いなどで労働基準監督署の是正勧告を受けたことを明らかにしました。
社員や元社員数名は記者会見を開き、「人手が不足し、休憩時間を削って働いていた。労働時間の過少申告を本社のゼネラルマネジャーに求められた。勧告後も改善が進んでいない」と訴えました。会見を開いた社員のうち3人は精神疾患を発症したそうです。
2店舗のうちの1店舗では、36協定を結ばずに残業させていたとか・・・
基本的な労働基準法のルールを一切守っていないような労働環境ですね。
会社側は、「店舗の営業時間を短縮するなどして従業員の勤務態勢の見直しを進めている」などとコメントしたようですが、イメージダウンは免れません。
なお、残業代未払いの問題は厚労省も重く捉えており、毎年度、是正指導(是正勧告の一歩手前の指導といったところです。)をした結果を取りまとめて公表しています。「平成27年度の監督指導による賃金不払残業の是正結果」をみると、平成27年度中に是正指導を行った企業数は、1348企業で前年度より微増しています。
詳しくは、こちらをご覧ください。
厚労省HP「平成27年度 監督指導による賃金不払残業の是正結果」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/chingin-c_h27.html
◆大手電機メーカーに違法残業の疑い、上司と会社を書類送検 2017/01/12
今月11日、大手電機メーカーの研究職員である社員に違法な長時間労働をさせたとして、労働局は、労働基準法違反容疑で、法人としての同社と当時の上司1人を書類送検しました。
送検容疑は、同社と上司が平成26年1~2月に、36協定で定めた上限の月60時間を超える78時間程度の残業をさせたことで、実態の労働時間と合わない勤務時間を過少申告させた疑いも持たれています(社員の代理人弁護士によると、実質的には、過労死ラインとされる月80時間の2倍に当たる月160時間の残業があったとのことです)。
先の大手広告代理店においてもそうですが、36協定で定めた上限を超える残業と労災認定が重なると、書類送検されるといった感じですね。加えて、書類送検された事案の実態をみると、労働時間の過少申告・パワハラといった暗い影が見え隠れしています。
菅官房長官は11日の記者会見で見解を求められ、次のように述べ、法改正を含め改革に力を入れていく政府の方針を示しました。
「労基法違反容疑で書類送検の件は承知している。一億総活躍社会実現の最大のカギは働き方改革であり、両立支援・多様な働き方を可能にするために長時間労働慣行を断ち切ることが極めて重要である。働く人の立場に立ってしっかり改革を進めていきたい。政府内で有識者を交え、年度内にとりまとめてできるだけ早く国会に提出し、しっかりした働き方改革を実現していきたい。」(主旨)
◆産業医の巡視頻度・100時間超時間外該当者の情報提供改正(案) 2017/01/05
産業医業務にかかわる労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案がパブリックコメントに公開されました。
改正内容の主なものは次のようになっています。
1.産業医の作業場等の巡視頻度について
衛生管理者から産業医に巡視結果等が提供される場合で、かつ事業者の同意がある場合は少なくとも2月に1回とする。
2.時間外が1月100時間超の労働者に関する産業医への情報提供について
毎月1回以上行うこととされている労働時間の算定で、1週間当たり40時間を超える時間外労働が100時間を超えた労働者の氏名とその超えた時間に関する情報を事業者は産業医に提供するものとする。
3.各健康診断の結果に基づき医師または歯科医師への情報提供について
医師または歯科医師が各健康診断の結果に基づき労働者から意見聴取する際に必要となる情報の提供を求められた事業者はこれを提供するものとする。
この改正にかかる意見募集は、平成29年1月26日までです。
Posted by SRコナガヤ at 08:00│Comments(0)
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