2014年08月28日

中小企業の賃上げ状況に関する調査結果

 先日、経済産業省が「中小企業における賃上げ状況に関する調査結果」を発表しました。
 なかなか興味深い結果でしたので、今回はその調査を取り上げます。

  ※ 調査は、今年6月に全国の中小企業3万社に調査票を送り、
    7月23日までに10,380社から回答を得たものだということです。
    経済産業省のサイトで詳細をご覧いただけます。
    http://k.d.combzmail.jp/t/69ah/d09g36v0an2zmhgbtzHJ2


【 中小企業の6割が賃上げ しかし理由は「人材定着・確保」のため


 ★賃上げ割合と賃上げの種類★

 賃金の引き上げを行った中小企業は、64.5%と、昨年度を大きく上回って います。一時金での引き上げが多いですが、ベア実施企業も35%以上 あるという結果が出ています。

 ◇常用労働者1人当たり平均賃金の引き上げ(定期昇給を含む)の状況

  ・引き上げる/引き上げた 64.5%(平成25年度 56.8%)
  ・引き上げない/引き上げていない 34.5%(平成25年度 40.5%)
  ・無回答 1.0%(平成25年度 2.6%)

 ◇賃金を引き上げた企業におけるベースアップ又は賞与・一時金の増額の状況

  ・ベアのみ実施 15.3%
  ・ベア及び賞与・一時金増額実施 20.9%
  ・賞与・一時金増額のみ実施 27.1%
  ・そのほかの賃上げ(定昇など)実施 36.7%

 ◇ベースアップの引き上げ額

  ・8,000円以上 13.5%
  ・5,000~8,000円未満 22.0%
  ・2,000~5,000円未満 42.4%
  ・2,000円未満 22.2%

 ◇賞与・一時金の引き上げ額

  ・6万円以上 25.0%
  ・3~6万円未満 23.5
  ・1~3 万円未満 35.7%
  ・1万円未満 15.8%


 ★賃金引上げの理由など★

 しかし、中小企業の多くは、業績回復のためではなく、従業員の定着・確保のために賃上げをしたと答えています。
 「人手不足」の影響は賃金にも出ていると言えます。

 ◇平成26年度に賃金を引き上げる/引き上げた主な理由(複数回答)

  ・従業員の定着・確保 75.7%
  ・業績回復の還元 28.9%
  ・消費税率引き上げ 21.3%
  ・同業他社の賃金動向 15.9%
  ・税制面や支援制度による環境の整備 3.0%

 ◇平成26年度に賃金を引き上げない/引き上げていない主な理由(複数回答)

  ・業績の低迷 71.7%
  ・賃金より従業員の雇用維持を優先 33.1%
  ・原油・原材料価格の高騰 33.0%
  ・消費税率引き上げ 23.9%
  ・他社製品・サービスとの競争激化 17.8%


 ★人材採用に関する問題★

 今回の調査では、賃上げの状況に加え、人材採用の状況について訊く項目もありました。

 ◇人材採用に関する問題点・課題

  ・募集をかけても採用したい人材がいない 48.0%
  ・募集をかけても人が集まらない 36.9%
  ・特段問題はない 28.6%
  ・採用しても辞めてしまう 22.7%

 ◇「募集をかけても採用したい人材がいない」理由

  ・特定の分野での即戦力になる中堅がいない 67.6%
  ・社会人としての基礎的素養を持つ若手がいない 44.2%
  ・経営者の右腕となる管理職・後継者がいない 20.6%
  ・新卒人材がいない 20.4%


 ★まとめ★

 人材不足の問題は様々なところで言われていますが、人材の定着や確保のために賃上げするにも、原資には限りがあります。
 今後、社労士としては、さらに「効果的な賃金制度(人事制度)構築」や、採用コンサルのご提案を心がけていきます。



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